「僕らは、最初からサステナビリティな活動を意識していたわけではありません。自分らしいビジネスや生き方を大切にした結果、環境を重視した持続可能な活動が生まれました」
そう話すのは、質問家のマツダミヒロさん。
年間300日ほどを海外で過ごし、コロナ禍になってからは沖縄を拠点に国内を周り年間300日ほど家に“いない”ライフスタイルを送り、仕事もプロジェクトベースでマーケティング・デザイン・カスタマーサポート担当などの役割をチームで分担しながら動かしています。
今回は、そんなマツダミヒロさんのサステナビリティ活動に取り組む背景や今後のビジョンなどをレポート形式でご紹介します。
最初のきっかけは、2010年くらい。仕事で紙を使うのをやめようと決め、当時はオフィスがあってFAXも置いていましたが、資料は全てデータ化し完全ペーパーレスに移行しました。
「取り組んだ当時は、環境に良いからというより、紙を毎回プリントしたり、講演会が終わったら紙の資料を捨てたり保管したりするのは生産性が悪いよね、という想いがあったからでした」
結果、今に至るまで紙を使うことはほとんどなく、場所を選ばず働くこの時代にあったワークスタイルを後押しすることにもなりました。そして、サステナビリティ活動を意識したり、着想を得たのは海外の影響が大きくありました。
「オーストラリアのバイロンベイのカフェでは竹で作られたバンブーカップが普通に使われていて、初めて見た時は『これ、本当に竹でできているの?』と思うと同時に、こういうのがあるんだと知り興味を持ちました」
また、海外に行くと街のネオンが少ないことに気づきます。日本はネオン看板がたくさんあり、無駄な電気代もかかります。ミヒロさんは、夜は部屋の電気を消してオリジナルで作ったアロマソイキャンドルに火を灯してヒュッゲタイムを取り入れています。電気代を節約するという意味で環境に優しいというのもありますが、体や心に優しいと思って続けていているそうです。本来、夜は明るくなくていいのです。
他にも、プラスチック製の食品ラップのナチュラルな代替え品として、再利用可能なHoneywrap (ハニーラップ)。知識ではあることを知っていても、実際に海外で使っているのを見たり経験したことで、これだったら既存のプラスチックラップは使わなくていいと思えたそうです。
「僕自身ご飯を食べるのが好きで、この分野に目がいきがちなんですが、ホテルに泊まると、たまにビュッフェがありますよね。そこで、大量に余った食材が廃棄されていることに驚きました」
ミヒロさんの実家は飲食店で、「料理を作ると、こんなに捨てるところがあるんだ」と目の前で見ることも多かったそうです。世の中の食料配給のバランスが良くなれば、食の貧困は亡くなるのになと思ったことも環境活動に目を向けたきっかけです。
サステナビリティの取り組みは、次第に選ぶアイテムの素材のこだわりや、ものづくりにも繋がっていきます。例えば、セミナーで配るプラスチックのクリアファイル。
「僕自身、イベントや勉強会などいろいろなところでクリアファイルをいただくことが多かったのですが、その場以外で使うことがなく、捨てるたびにあまりいい気持ちにならなくて……」
そのように感じていたことから、クリアファイルの素材をプラスチックから石灰石を主原料にしたLIMEX(※1)にしたのが2016年くらい。捨てても土に還る素材で、肌触りが気持ち良いアイテムとして使い続けています。
※1 LIMEX(ライメックス)とは |
その頃から、何か新しいものを作る時、まずは環境に配慮したものや環境に良い素材を取り入れられないかを検討してみて、納期・価格・デザイン性が満足いくかという兼ね合いもみながら進めていくことを意識するようになりました。
しかし、同時に課題も。
「僕たちがこれいいねと思っても、当時はそれを作ってくれる人がいなかったのです。今は環境意識が高く、技術もセンスも併せ持ったメンバーが加わったことで実現できるようになりました」
その第一弾が、エコボトル。これは、自分たちで持ち歩く用でもあるのですが、以前は講座の時に飲み物を紙コップで出していて、毎回大量のゴミを出していたことから「ゴミとして無駄になるし、もったいないよね」という声がスタッフからあがっていたことから取り入れました。
ボトルは水質汚染や環境負荷の問題に取り組んでいるMiiR(※2)社のタンブラーを採用し、自分たちが持ち歩きたくなるデザインをスタッフに描いてもらったのです。
2019年の講座から販売し、すでにマイボトル持っている人は自分で持ってきてもらうことで、ペットボトルや紙コップの使用をだいぶ減らすことに成功しました。
※2 MiiR(ミアー)とは |
最近だとバンブーマグカップも作りました。竹の繊維を固めた素材バンブーファイバー(※3)でできており、マグカップを新しく作ろうと思った時に、これを選びました。
※3 バンブーファイバーとは |
また、以前までは講座で使うテキストカバーは牛の革でしたが、それを革に近い見た目と風合いを出せる素材であるウォッシャブルペーパー(※4)に移行したり、同じく革で作っていたものを環境に配慮されて作られているタイベック(※5)という素材に切り替えたりと、少しずつ変化を取り入れていきました。
※4ウォッシャブルペーパーとは |
※5 タイベックとは |
「僕たちが作るものも、いずれはゴミになると思います。でも、土に還らないものを選んだり、作ったりするのはゼロにしていきたい。循環できるような素材に全て変えていきたいという想いがあるからです」
そう話すミヒロさんは、ここ数年でその選択肢が増えてきたという印象を持っています。
「以前は環境に良い素材でも色が1色しか選べなかったり、見た目がイケていない製品も多かったので、デザインは妥協して取り入れることが多くありました。しかし、今は環境に配慮しつつデザインにもこだわって、皆が使いたくなるようなアイテムが作れるようにもなりました」
例えば、おしゃれに使いたいストールも、アマ科のアマ(亜麻)という植物の茎から作られる繊維であるフランス産のリネンを使い、山形にある会社で1枚1枚時間をかけて編んだオリジナルのものを作っています。カラーバリエーションが豊富で、環境にも良いアイテムができあがりました。
このように新しいものを作る際は、いろいろな兼ね合いがある中でも、無理しすぎない範囲で、環境に良いもので作るという選択肢を持ちたいと話すミヒロさんは、最後にメッセージを送ってくれました。
「この記事を読んでいる皆さんにとっても、普段の生活にサステナビリティな活動を取り入れるヒントになっていれば嬉しいです。始めるきっかけは何でも良くて、可愛いいから、かっこいいから、素敵だからでもいい。環境のことを意識する人が1人でも増えるといいですね」
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